革製品に最も多く使用されている素材が牛革です。丈夫で耐久性があり、革の鞣し方のバリエーションも大変豊富です。
【カーフ】
最高級の牛革が、生後6ヶ月以内の仔牛の革のカーフです。生後すぐの革は傷が少なく、表面の繊維が細かいために非常に柔らかく、滑らかな手触りが特徴です。
【キップ】
カーフの次に高級とされるのが、生後6ヶ月~2年の中牛の革のキップです。カーフと同じく、仔牛のためにキメ細やかで、傷が少ないです。また、カーフよりも滑らかさはやや劣りますが、革に厚みがあるので強度が高く、汎用性が高いという特徴があります。
【ステアハイド】
最もポピュラーな牛革が、生後3~6ヶ月の間に去勢され、生後2年以上経った牝牛の革のステアハイドです。傷が少なく厚みも均一で、キップに近いキメ細やかさが特徴です。最も一般的な食肉用牛の原皮で幅広い革製品の素材として使用されています。
日本で唯一供給できる革が、豚革です。
当工房では、バッグの内部やフタの裏側などに使用しています。0.5mmから1mm前後の厚さで、豚革単体でバッグなどを制作することはほとんどありません。
牛革よりも若干強度は低くなりますが、柔軟性が高く軽いのが特徴です。
当工房では、その軽さを生かして大型のバッグ制作の際に好んで使っています。また、特に臀部の革であるコードバンは、採取量が少なくとても貴重で、美しい光沢から高級素材となっています。
革の繊維が非常に細かく、軽くて柔らかいのが特徴です。人肌に近い感触があり、伸縮性も豊富で、水に濡れた後でも油分が抜けにくく長期間の酷使にも耐えうる素材のひとつです。当工房では好んで使う素材でもあります。
ベルトなど強度の必要なパーツであれば繊維の細やかで強靭な脊椎や腰に近い部位を、面白い表情を必要とする場合は、首まわりや前足や後ろ足などの付け根などの部位を選び、必要であれば裏打ちなどの補強を加えて使います。どの部位がどのパーツに適しているかをそのつど見極めます。特に優れた部位のみを使うようなことはありません。
食肉の副産物である皮革を、最後まで有効に使い切ることをモットーに制作活動をしています。さらに、「いつもそばに置いておきたい」と思うような愛着の湧く作品作りを心がけています。また修理なども責任を持って行うため、簡単に壊れないように手間ひまかけて頑丈に制作を進めています。
素材は、古来から伝わる植物タンニンで鞣されたものを主に使い、金具は、革と相性の良い真鍮製や銅製を選んで使っています。
革工房 エル・パソでは、革の特質をできる限り引き出すことをモットーに、丈夫な牛革、軽い馬革、しなやかな鹿革、表情の面白いバッファロー革など、様々な革を素材に使用しています。また、ラクダなどの少し変わったレザーを素材に選ぶこともあります。
動物によって違う、それぞれの表情をお楽しみいただければ幸いです。